銅の2元アブレシブ摩耗におけるセメンタイトの役割

摘要

固定された硬質粒子による2元アブレシブ摩耗は，最も著しい摩耗状態に曝され，短時間に材料の耐摩耗性が評価できること，および摩耗相手材との相対的な相性の問題を避けられるため，摩耗試験法として多く利用されている。 鋼に対する2元アプレシブ摩耗の現状での問題点は「なぜ硬さに対する摩耗の割合が，純金属に比べて鋼の方が低くなるか？ 」であろう。 単相と多相との違いから，この問題を解決すべく種々の熱処理を施した，種々の炭素量の材料に対する報文があるが，結局のところ材料の硬さと耐摩耗性の関係から抜け出せないでいる。 本研究では，鋼と凝着性の少ないAl_2O_3系の研磨紙上で，主にパーライトと粒状のセメンタイトに対する摩耗の問題について検討した結果を報告する。