調和組織を有する純Ti焼結体の組織と機械的特性(J001_2)

摘要

構造用材料の高強度化は、これまで結晶粒超微細化による方法により進められてきた。その結果、Hall-Petch則にしたがい著しい高強度化が達成されてきたが、その一方で十分な延性が得られない、という高強度化において避けられない問題に直面している。すなわち、結晶粒超微細化により降伏強度は上昇したが、降伏後、直ちに塑性不安定を生じ破断する。これに対して、われわれは超微細結晶粒と粗大結晶粒とを組み合わせた「調和組織材料」を提案した。調和組織材料は、強度に優れた微細な結晶粒組織が、延性に富む比較的粗大な結晶粒組織を包み込むようなネットワーク構造を有する組織である。本研究では、粉末を出発材とする純チタン調和組織材料を作製し、その微細組織と機械的特性の検討を行った。