肝lipomatous tumor (lipoma, angiomyolipoma, myelolipoma, focal fatty liver)

摘要

肝における脂肪原性腫瘍(lipomatous tumor) は，非常にまれな疾患であるが,一番の注意点は，悪性肝腫瘍，特に肝細胞癌との鑑別に尽きる.近年，高齢者の非ウィルス性肝細胞癌が増えており，小肝細胞癌では脂肪化を伴うことから，同疾患を認識しておくことは重要である. 今回，脂肪原性腫瘍の代表的な疾患について画像診断を中心に概説する.1.脂肪腫(lipoma) 極めてまれな良性腫瘍であり，20数例程度の報告しかない.組織学的には成熟脂肪組織からなる.画像は，脂肪成分に準じた所見となり,超音波では高エコ一，CTは，単純ではlowdensity(CT値<-20HU)で，無造影の腫瘍であり， MRIも脂肪成分を反映した所見をとる(表1).