疾患モデル細胞，iPS細胞を用いた毒性評価と創薬研究難治性血液?免疫疾患由来の疾患特異的iPS細胞を用いた病態解析

摘要

血液は血球成分と血漿成分からなり，全身を循環し，様々な機能を担っている.血球成分は酸素運搬に関わる赤血球，血機能を担う血小板，および免疫担当細胞である白血球に分かれるが，それぞれが様々な疾患の原因となりうる.ヒトの疾患研究において，ヒト由来組織?細胞を用いた細胞生物学的?分子生物学的研究は非常に重要であるが，しばしばヒトプライマリ検体を得ることは困難である.血液?免疫疾患では採血により患者検体を得ることが可能ではないかと考えられるが, 際には，繰り返して検体採取を行うことは患者の負担が大きく，血球系細胞は治療やサイトカイン環境などに影響を強く受けるため，験系の信頼性にも問題が生じうる.また，多くの血液疾患ではその原因が造血幹?前駆細胞にあるが，これらの前駆細胞を末梢血などより得ることは難しい.