感覚器の加齢性変化

摘要

感覚器は外界の情報を脑に伝達する働きを有 し，脳はこれらの入力情報に基づいて適切な状 況判断を行っている.すなわち，視覚，聴覚， 嗅覚，味覚，体性感覚(平衡覚の一部を含む）を 通して正確な外部情報を脳にィンプットし，情 報収集の役割を担う要所である.したがって， 外部情報の入力は日常の生活に直接，かかわる ことになるが,そればかりでなく，学習や体験, 認知機能や情動にも大きく影響する.しかし， いずれの感覚器も加齢に伴う変化がみられ，各々の感覚機能の低下，ひいては生活機能，生活の質(QOL)の低下として表現される.このこ とから高齢者のQOLを維持?向上させるため にはこれらの変化を熟知しておくべきであるが, これらの加齢性変化には生理的なものと病的なものとが混在している.