参照データの戦略的スリム化に基づく高速画像マッチング－テンプレートマッチングの高度化技術

摘要

画像中から対象物を検出する技術，なかでもテンプレートマッチングの歴史はたいへh古い．この手法は実装が容易で，振る舞いがわかりやすいことから，マシンビジョンの代表的なアルゴリズムとして生産ライン等で頻繁に利用されている．本稿では，筆者が取り組hでいる高速テンプレートマッチングの基本技術と，2つの発展技術を紹介する．基本技術は，濃度共起確率分析に基づいて照合に利用する画素（参照画素）数を削減することによって従来比1000倍以上の高速化を実現する手法である．またこれを発展させ，さまざまな目的に適した参照画素を選択する手法も開発中である．一つは同一の対象物に関する複数のテンプレート画像を分析して照明変動にロバストな画素を選択する手法，もう一つは周辺類似物との差異を顕著化する画素を選択する手法である．このように，戦略的にスリム化した参照画素を使用することによって，テンプレートマッチングにさまざまな機能を付与することができる．各手法を概説し，性能実証結果を明らかにする．