プレス加工の高機能化の最新技術動向：590MPa級ハイテン材の工程短縮と形状凍結向上事例

摘要

自動車の軽量化と衝突安全性向上は相反する課題であるが、その対策の1つとして、近年自動車ボディパネルへの高張力鋼板の採用比率は高まり、その比率は50％を超える状況である。 しかし、高張力鋼板のプレス成形は通常鋼板と比べて降伏点応力が高く、伸びが少なく材料硬さが高いという特性のため、プレス成形に伴うスプリングバック現象が大きく影響し、金型形状（製品形状）に対する形状凍結性が低い。 また、その形状に対する成形性は、伸びが少なく大きな変形を付与できないという、プレス成形上の大きな課題がある。 なお、この傾向は高強度になるほど、顕著に発生するという高張力鋼板の特性がある。 ところで、自動車ボディパネルの部材に多く見られるハット型形状の成形においては、第1工程曲げ絞り加工、第2工程成形加工のように製品形状づくりに2工程のプレス工程を要するのが一般的である。 今回、後述するバウシンガー効果を応用した㈱クライム エヌシーデー、三恵技研工業㈱と共同開発した成形法(PAT.P)を取り入れた、図1に示すサーボプレス「NS 1-3000 (D)」による工程短縮および形状凍結性向上実験を実施し、効果が確認できたので報告する。