PCA併用ペンタゾシン持続皮下注入法による高齢者上腹部手術の術後鎮痛効果

摘要

成人の外科開腹手術症例を対象に, PCA装置付きのペンタゾシン持続皮下注による術後鎮痛効果を年齢別に3群(65歳未満, 65歳以上75歳未柄, 75歳以上)に分け,回顧的に比較検討した。 術中の麻酔管理は,プロポフォールで導入,亜酸化窒素,イソフルランで維持し,手術開始前にべンタゾシン30-45mgを投与した。 術後鎮痛として,手術終了時にペンタゾシン240-390mg,ドロペリドール5mgに1%リドカインを混合し総量40mlとし, 0.5ml·hr~-1で持続皮下注入を開始した。 術後鎮痛の程度,追加鎮痛薬の有無,合併症の有無を調べた。 術後の視覚的評価尺度(VAS), 5段階疼痛評価法による鎮痛評価は群間に有意差はなく,各群とも70%以上の症例で良好な鎮痛が得られていた。 術後ペンタゾシン投与量は群間に有意差はなかった。 全身麻酔単独で麻酔管理を行った場合の術後疼痛管理法として,ペンタゾシンの持続皮下注入法は年齢によらず有用である。