大腿静脈に留置した中心静脈力テ一テル抜去後に右房流入部まで伸展した下大静脈血栓を摘出された糖尿病ケトアシドーシスの1症例

摘要

生来健康で，検診でも異常を指摘されなかつた。入院20日前よりロ渴を自覚し，水分を1日2 /程度摂取していた。全身倦怠感が強くなり，動 けなくなったため家族により病院に搬送された。 血液検査では，血糖値375 mg ? dl~(-1), HbA_(1c) 15.9%,尿ケトン体3 +であった。動脈血液ガス分 析で，pH 7.252, Pco2 14.2 mmHg,塩基過剰（base excess ： BE)- 14.8と代謝性アシドーシスを示し た。抗グルタミン配力ルボキシリアーゼ（glutamic acid decarboxylase ： GAD)抗体は174.3 U ? ml一1 であり，1型糖尿病によるケトアシドーシス（diabetic ketoacidosis ： DKA)と診断された。補液と インスリン投与のため中心静脈内力テ一テル (central venous catheter ： CVC)を右内頸静脈， 次に左の内頸静脈から穿刺を試みたが，患者の体 動により穿刺が困難であった。そこで，エコーガ ィド下に左大腿静脈よりCVC穿刺を試みたところ，1回目で容易に留置できた。入院翌日から徐々に全身状態，検査値は改善し，第3病日より食事摂取も可能となった。