新規低圧発泡成形技術（RIC-FOAM)の開発

摘要

世界的な二酸化炭素排出量削減の風潮もあり，自動車業 界では車体軽量化による燃費低減への取組みが積極的に行 われている.軽量化の手法としては金属部品の樹脂代替等 が効果的であるが，樹脂部材そのものを軽量化するニーズ も高い.樹脂部材の軽量化の手法として，樹脂成形体の内 部に微細気泡（セル）を形成し，密度を下げることで部材 重量を低減する発泡成形技術がある.発泡成形により.軽 量化のほかにも成形品のヒケ反り低減や.肉厚成形品の冷 却時間やサイクルタイム短縮の効果を得ることができる. 発泡成形法には.発泡剤として熱分解により発泡ガスを発 生させる化学発泡成形法と，超臨界状態の二酸化炭素や窒 素を利用する物理発泡成形法が知られている.物理発泡は 化学発泡に比べ発泡体に残渣（ざhさ）が残らずクリーン であることや，内部の気泡が微細化しやすく.軽量化効果 が得られやすいというメリットがある.近年.特に海外に おいて採用実績が増えてきている.当社では京都大学大嶋 教授指導のもと新規の物理発泡成形プロセス (RIC-FOAM : Resilient and Innovative Cellular Foam Injection Molding)を開発した.発泡剤の圧力が2? 8MPaと物理発泡成形法としては比較的低い圧力で微細セ ルを有する発泡成形体を作製することが可能である.これ まで，第一世代となるRIC-FOAM Iと.第二世代の RIC-FOAM IIのプロセスを提案している.本稿ではそれ ぞれの成形プロセスと成形試作事例について解説する.