マグネシウム合金の押出し加工と形材の利用

摘要

マグネシウムは，比重が鉄の約1/4，アルミニウムの約2/3であり，かつ比強度が大きいことから，軽量化を目的とする構造設計には魅力的な材料である．最近，マグネシウム合金の展伸材が注目されているが，展伸材の特長は機械的性質の均一性に優れること，表面外観品質が優れること，さらには加工による内部組織の制御と熱処理が可能なことが挙げられる．マグネシウムは，最密六方晶の結晶構造を有し，すべり面が限定されるため，一般に常温での塑性加工が難しい．また押出し加工，圧延加工中こ強い契合組織が形成され，形成された集合組織は，強化に寄与する反面，機械的性質の異方性の出現原因となり，展伸材の塑性加工を困難にする要因にもなっている．そのため，これまでマグネシウム合金を利用した物づくりは，溶融加工が主体であり，塑性加工の検討は進hでいなかった．