大型一体型クランク軸のRR鍛造への数値シミュレーション技術の適用

摘要

舶用や発電機用などに使われているディーゼル機関用クランク軸は，その製造方法によって一体型クランク軸，組立型クランク軸に分類される．中小型のディーゼル機関には一体型クランク軸が用いられており，その製造方法としてRR鍛造法，TR鍛造法，多軸プレスによる方法などが開発されている．われわれが採用しているRR鍛造方法は，精密な鍛造が可能であるが，プレス挙動や素材の変形挙動などが複雑で，鍛造工程設計を行うには豊富な経験や知識が必要とされてきた．今後，これらの経験や知識を伝承し，より適正な工程設計手法を確立するためには，RR鍛造の変形挙動を定量的に把握して予測することが必要不可欠である．そのために，従来から数値シミュレーションの活用が試みられてきたが，RR鍛造では素材の金型への充満やバリの発生などを伴うため，形状を予測するのはきわめて困難であった．しかしながら，近年の解析手法の発達により三次元数値シミュレーションの実用化が進hでおり，RR鍛造のような複雑な変形挙動の数値シミュレーションが可能になりつつある．本報では，丸棒からクランク軸に鍛造するRR鍛造法について3D-FEM数値シミュレーション技術を適用した事例について報告する．