グリースに混合された固体潤滑剤の熱間圧延潤滑効果

摘要

熱間圧延で潤滑が行われているのは，ロール摩耗や圧延動力の低減などの効果が期待されるからである.熱間圧延における潤滑の研究は以前から取り組まれており，熱間圧延称潤滑剤の評価方法や,鉱油，油脂およびエステルを主成分とした液状潤滑剤のロールの耐摩耗効果や圧延動力の低減効果に関する報告がなされているまた，熱間仕上圧延機後段で大庄下圧延を行うときの?了－－ル負荷を低減するための熱延潤滑剤の開発や，鋼管圧延におけるマンドレルバーやディスクガイド等において，摩擦抵抗を低減すをための潤滑剤の開発や潤滑膜切れによる焼付きを防止するための潤滑剤の開発も行われてきたこれまで行われてきた熱間圧延用潤滑剤の開発は，主として摩擦係数を低減させてロール負荷を軽減することによって，ロール摩耗や焼付きの発生頻度の低減を目的としたものであった，しかし，薄板の連続熱間圧延の仕上圧延工程においては，摩擦抵抗が低下するにつれてロール摩耗は軽減されるが，通板時のかみ込み不良や加速圧延時に生ずる各スタンド問の同期不完全によるスリップが実操業において見られるようになる．これらのことを回避してロール摩耗を軽減させるためには，ロールと材料の問に形成される潤滑膜の摩擦係数が高く，かつ摩耗を防止するための保護膜を形成できる潤滑剤が必要となる．本報告は，上記の目的を達成するための熱間圧延用潤滑剤の特性や選定の考え方，基礎実験による潤滑剤の性能評価および潤滑機構の検討結果，さらに比較的ロール摩妾宅の大きい熱間仕上後段圧延実機試験による確性評価の結果が述べられたものである。