アルミニウム熱間押出し加工時における押出し金型変形量の直接測定－アルミニウム熱間押出し加工中の押出し金型変形に関する研究 第2報

摘要

押出し加工製品の形状寸法は，押出し金型の変形や材料流動の影響を強く受けるため，数値的な裏付けのある合理的な金型設計を行うには，実際の金型変形量を直接測定するか，FEMなどの数値解析法によって算出することが不可欠である．しかし，今までのところ押出し加工中の押出し金型変形量を実際た測定した例ははとhどなく，また，その変形量と押出し加工中の材料流動から生じる圧力分布等との関係については，ほとhど調査されていないのが現状である．著者らは既報において，純アルミニウム丸棒熱間押出し加工中の押出し金型に作用する圧力を市販の圧力センサを用いて直接測定する方法について検討し，実際に圧力を測定した結果，丸棒押出し時の圧力分布が成形部側で一定か減少するような傾向を示し，コンテナ壁面に近づくにつれて圧力は成形部側よりもさらに低下していくような傾向を示すことを明らかにした．FEMなどの数値解析法による押出し金型の構造解析を行う際に，この圧力分布を用いて解析を行えば，精度のよい解析結果を得ることができる．また，押出し加工中の実際の押出し金型変形量を直接測定し，これら解析結果と実測結果を，押出し金型設計を行う際の有効なデータとして使用することができれば，高品質な押出し製品を押出す金型の設計を容易に行うことができると考えられる．熱間押出し加工中の押出し金型変形量を測定するためには，高温でひずみ測定が可能な高温用ひずみゲージの使用が考えられるが，この場合ひずみゲージを取り付けた金型ごとに，つまり一型ごとに型内圧力と測定されるひずみを関連づけるための校正曲線を求める必要がある．しかしながら，実際の熱間押出し加工に対して，一型ごとに校正曲線を求めることは困難であり一般的ではない．そこで本報告では，熱間押出し加工中の押出し金型変形量をレーザー変位計にて測定することを試み，その測定結果と既報で明らかにした圧力分布との間にどのような関係があるか検討した．また，工業用アルミニウム6063合金の押出しを行い，実生産状態に近い条件下での押出し金型変形量も測定した．