充塡率の向上と成形圧力の低減－絞りカップを用いた平歯車の試作 第2報

摘要

従来，歯車は主に歯切盤による切削で加工されている．しかし切削加工は材料の歩留まりが悪く，コストも高い．そこで近年，加工コスト削減を目的として鍛造や転造，押出し加工などによるネットシェイプ，ニアネットシェイプ成形が盛hに研究され，実際に実用化され始めている．本研究もコスト削減等を目標に，厚板材を絞り加工したカップの外周面をしごき·圧縮加工することにより，比較的大径かつ軽量な平歯車を得るための基礎的な検討を行うことを目的としている．これまでの研究において上記の成形方法により，厚板材から平歯車を得られることが確認でき，また絞り·リストライク·しごきの各工程の最適条件が確立でき良質なカップを得ることができた．しかしながら，最終工程である圧縮工程を経て成形された製品の歯部への材料の充塡は完全なものではなかった．また，このときの成形圧力は高く，鋼材を用いた場合，工具寿命や製品精度を考えると必ずしも実生産には向かない．そこで本報では，充填率向上と成形圧力の低減を目的に圧縮工程に分流鍛造法を含むさまざまな加工法を導入した．供試材には，アルミニウム(A1050)と軟鋼(SPHC)を用いた．また，FEMシミュレーションにより分流鍛造法を用いたとき成形圧力の低下および材料の流動状態や充填状況を明らかにし，分流鍛造法の有効性およびFEM解析の信頼性を確認する．