中小企業のものづくりと技術経営の役割

摘要

90年以降におけるいわゆるバブル崩壊後の日本経済に元気が和いということは，我々技術者の日頃実感している所であろう．このことは，すこし古い資料であるが，例えばスイスのビジネススクールIMDが毎年発表している各国の科学技術力，経営力，総合競争力の番付「国際競争力年鑑」からもわかる．すなわち，2002年の結果によれば，日本はそれぞれ，科学技術力2位，経営力41位，総合競争力30位と92年の数字と比較して，科学技術力が米国についで2位をキープしているのに，経営力，国際競争力といった総合競争力の評価が1位から30位へと急減しているのである（現時点の新開発表によれば総合競争力はその後わずかに改善しているが）．そのほか，日本の強みと弱みを表1に示しておく．起業化精神の広がり，企業の創業，経済ニーズに合う大学教育などが軒並み弱みになっているのが注目される．