深絞り·しごき加工に対する超音波振動の適用効果

摘要

超音波振動を適用した深絞り·しごき加工法とは、一般的に、深絞りダイなどの工具を周波数～数十kHzおよび振幅数～十数μmで強力に振動させながら、所望の加工を実施する方法のことをさす。 この強力超音波を深絞り·しごき加工に利用することにより得られるメリットとしては、一般的に以下のようなものがこれまでに報告されている。すなわち、(1)深絞り·しごき加工力低減、(2)材料とダイスとの摩擦低減（潤滑特性向上）、(3)材料の加工硬化や残留応力の低減、あるいは(4) 製品の加工精度向上などである。 ただし、超音波振動の適用によって、これらのメリットが発現する理由や効果の程度などに関しては、まだ十分に説明できない点も多い。 本稿では、超音波振動を適用した深絞り·しごき加工法の現在までの検討事例、最新の研究動向および超音波振動を深絞り·しごき加工に適用するに当たっての技術的ポイントに関して解説する。