放電加工における加工液超音波振動援用の効果（第1報）－超音波振動援用微細穴あけ加工に関する研究

摘要

超音波振動援用加工法は，放電加工においても振動により電極と工作物の相対位置が変化するために，短絡率が高い不安定状態でもギャップ幅を確保でき，有効放電率の増加による加工速度の向上が可能である．しかし，これまでの方法は電極や工作物に振動を付与するために，装置の改造が必要となる．筆者らが提案する新しい超音波振動援用法は，加工液に超音波振動を付与してキャビテーションを発生させ，放電加工により発生し極間で増加する気泡を崩壊させ，さらに，加工屑の排出を促し，加工速度やアスペクト比の向上を目的とするものである．油剤への超音波振動援用は小径ドリル加工に適用し，切りくずの排出性を向上させ，ドリルチゼル部への凝着の抑制から工具寿命を著しく延ばすことを確認している．本論文では，直径50μmの微細電極による超硬合金への穴加工を取り上げ，加工液への超音波振動援用による加工能率とアスペクト比の向上や穴内部の気泡および加工液の挙動，さらに，超音波振動の援用が微細加工に及ぼすマイナスの要因について述べる．