続·材料トラブル調査ファイル--フエノール樹脂製弁当箱の使用中のゆがみ

摘要

フェノール樹脂の発明は以外と古く，今から約100年前のことである。 発明当時の社会的状況も手伝い大きな需要があったため，当時としては急速な実用化が進められ，すぐさま世に出ることになった。 戦後，急激に伸びてきた石油化学工業の発達とともに研究，開発，実用化されてきた他のプラスチックとは，その歴史と趣きに大いに違いが見られる。 当時，ドイツのBayerは合成染料の研究中に偶然，石炭酸（フェノール）がアルデヒドと反応し，樹脂状のものを得た。この時代は，ベルによる電話や発電機の実用化，そしてエジソンによる白熱電球，蓄音機の実用化など電気を利用したさまざまな発明が行われていた。 フェノール樹脂は電気特性が優れていたことから，このような社会情勢において注目されるようになり，Bakeland（米）によって生産技術が確立された。 したがって，文献によってはBakelandがフェノール樹脂の発明者として記されているケースもある。 読者諸君は，今でもフェノール樹脂が"ベークライト"と呼ばれているのもお分かりかと思う。