高機能接着システムの構築と知能材料（下）

摘要

接合の手段は接着ばかりではない。 金属材料を対象とした溶接技術は，鉄鋼を基本とする大型構造物を完成させている。 しかし最近では,プラスチック素材料も構造用材料として，また軽量なハウジング用材料として広く用いられるようになり，必ずしも鉄鋼材料ばかりが接合の対象ではなくなっている。 特に,プラスチック系材料を対象とする接合では，接着による方法以外によい接合法はない。 しかし接着は，ボルトリベットの接合のように可逆的な接合法ではないため，廃棄物となった接着部材は,その再利用が難しい。 そこで，接合部の可逆化が可能な接着に大きな関心が寄せられている。 現状では，熱可塑性プラスチックの溶融牲を活用して分解するか，粘着剤の改良によって再接着を可能とする以外には，あまり期待できる技術はない。 しかし,熱可塑性プラスチックをベースとする接着剤では、高温での使用範囲が大変狭くなる。そこで，接着の叶逆性化は,これからの資源の有効利用を考えたとき,大変重要なテーマであることは,ここで改めて述べるまでもない。