マルチメディア時代をリードする光学材料：ナノテクを活用した有機無機ナノ複合光学材料の開発

摘要

光とナノ複合材料との相互作用においては、ナノ分散相の分子集合体としての構造と密接にかかわる物性が現われる。 この結果、散乱による透明性の低下を抑えながら無機ナノ分散相固有の光学応答特性を発現する、有機無機ナノ複合体からなる光学樹脂を創製することが可能になる。 高い経済性、成形加工性などを特徴とする高分子光学材料の普及はめざましく、光ディスク用レンズ、カメラ付き携帯電話、光通信用微小光学部品などに応用され、高度デジタル情報化社会を支える基幹材料となっている。しかし、屈折率や屈折率分散の制御範囲が狭いなど、高分子材料特有の制約があるため、より高い要求性能や機能を要求される光学材料としての展開は必ずしも進hでいない。 我々は、無機材料からなるナノ粒子や分子クラスタと高分子材料との複合体である有機無機ナノ光学材料の研究を進め、高分子材料だけでは発現できない機能を有する光学材料の研究を行ってきた。 本稿では、有機無機ナノ複合光学材料の基本的なコンセプトと応用事例を紹介する。