試される末端の価格決定力上げから下げへ、変わるか市場の潮流

摘要

高騰していた原油が8月に入って急落している。 再び反騰するのかどうかこれから先きの展開は分からないが、これまで原油価格高騰に伴い上昇していた国内のガソリンや軽油などの製品価格も今度は下げ局面に入るのは必至である。ほとhどの元売が採用しているコスト·ベースの卸方式では、いまSS店頭で販売しているガソリンの値段はほぼ1ヵ月前の原油価格を基に算定した出荷価格によるものだから、8月1日からの元売出荷価格は7月の高値原油コストを反映して上昇、SS店頭価格も第1週には値上がりしたものの、第2週目には早くも値下がりしている。 原油の下落が末端市況に下げ圧力を及ぼしたためだが、原油価格の下げが卸価格に反映されるのは9月の出荷価格から。したがって、それ以前にSSが値段を下げて安売りに走れば、採算割れは避けられない。SSが赤字に陥って代金回収ができなければ、元売も窮地に追い込まれてしまう。 過去の経験では、原油の上げ局面では製品へのコスト転嫁が思うにまかせず、下げ局面では先取り値下げが横行して末端市況がいち早く混乱する繰り返しであったが、今回の原油乱高下は上げ幅も下げ幅もこれまでとは桁違いに大きい。 対応を誤って国内市況が崩壊すると、SSも元売も修復しがたい打撃を被る恐れがあるから要注意である。