電力·ガス自由化、変化する小売モデルとは（1）－スイッチング動向等資料、アナリスト意見などから見た将来像－

摘要

日本のエネルギー自由化は、2016年4月、先行スタートした低圧電力分野が事前予約販売を含めると、約2年が経過した昨年末610万9，600件、切替率9．77％と1割近くに達した。参入した小売電気事業者数は449事業者（昨年12月28日現在）と相当数となる一方、収益性、将来性などの課題から撤退、売却する事業者も現れ始めた。その中で、大きく数を伸ばし、電力会社を慌てさせたのは、大手都市ガス会社だった。当初の事業見通しを上回る勢いから目標値を上方修正する企業もある程だが、果して今後も順調に進むのかどうか。都市ガス会社の電力事業拡大に対し、電力会社も昨年4月都市ガス小売全面自由化を待って、反転攻勢に出た。中でも、テレビCMなどを駆使した関西エリアでの切替えは凄まじく、12月末時点の実数では全国60万8，133件に対し30万9，321件と約5割を占める程の躍進を見せた。出遅れた感があった関東エリアでも、11月には単月切替数を2万件台に乗せ、更に12月は若干勢いを失った関西エリアを初めて上回る最高値（2万6，939件）を記録、徐々に加速しだした。本稿では、これまでの自由化動向をベースに、関係者及び専門アナリストなどの意見を聞き、今後の見通しなどを2回に亘り掲載することとした（本号、電力動向編）。