妊娠終了後も遷延するネフローゼ症候群に対し，シクロスポリンA治療を試みたIgA腎症合併妊娠中毒症の1例

摘要

妊娠中毒症にみられる蛋白尿は，ほとhどの症例で分娩後速やかに消失するが，重症例では6カ月以上蛋白尿が遷延することもある。 その場合，1）糸球体腎炎が妊娠に先行した混合性妊娠中毒症の場合，2）巣状糸球体硬化（FGS）様病変を伴っている場合，3）新たな糸球体腎炎が発症した場合などが考えられるが，いずれにせよ，鑑別のためには腎生検が必要となる。われわれは，シクロスポリンA（以下CyA）投与後にネフローゼ症候群（NS）が寛解したIgA腎症合併重症妊娠中毒症の1例を経験したので報告する。