保存期慢性腎不全の病期分類と悪化の病態生理 それぞれの原疾患に共通の因子

摘要

慢性腎不全は，進行性の腎機能障害により高窒素血症，水·電解質代謝異常，貧血，高血圧など生体の恒常性が維持できなくなった状態をいう。 その原因は，慢性に経過する原発性および他疾患に伴う二次性の腎疾患が大半であるが，なかには急性腎不全からの移行もみられる。 腎臓の機能としては，①代謝老廃物の排泄り②水·電解質，酸塩基平衡の調節（体液量，組成の調節），③血圧調節（レニン－アンジオテンシン系），④造血調節（エリスロポイエチン産生），⑤骨代謝調節（ビタミンD活性化，Ca·P代謝）などがあり，腎不全ではこれらの機能の障害により病期に応じて多彩な病態を呈する。