集団全体への対策効果と今後の課題

摘要

生活習慣病の予防を効果的に行うためには発症要因（危険因子）を同定し，それを適切な方法で制御することが必要となる．発症要因の同定のためにはうまくデザインされた症例·対照研究やコホート研究が必要であり，さらに危険因子の是正による予防効果の検証には無作為化比較試験が必要とされる．このような疫学的な検証を経た危険因子は公衆衛生上重要な意味をもっており，その対策は優先的に行われるべきである．本稿では危険因子の重要な制御手段であるpopulation strategyについて具体的な介入研究の例を通して紹介する．危険因子を制御する手段としてpopulation strategyの効果は大きいが,低リスク者が大多数を占める一般集団において,その意義を理解させて行動変容につなげるには多大な労力が必要である．今後,効果的なpopulatjon strategyの手法を確立させる必要かある.