サイトカインと心筋障害

摘要

近年,心不全におけるサイトカインが注目されている.心筋梗塞,高血圧,心筋炎,心筋症などによる心不全において,血中のサイトカインが高値を示し,心臓内でサイトカインの産生が増加していることが示された.また,サイトカイン投与やサイトカイン遺伝子のトランスジェニックマウスの研究により,心機能障害や心筋細胞障害がみられ,心不全の病態にサイトカインが深く関与することが示唆されている.また,アンジオテンシンIIはAT1受容体を介し,サイトカインに重要な転写因子を活性化し,サイトカインとのクロストークがみられている.アレルギー性炎症に重要なマスト細胞蒋粒内には多くのサイトカインが含まれ.SCF-ckitが心不全の発症に重要な役割を果たすことが明らかとなった.サイトカインをあらたな治療ダーゲットとして,抗炎症性サイトカインによる治療や新しいサイトカイン遺伝子治療の臨床応用が期待されている.