大腿骨頭壊死とアポトーシス

摘要

大腿骨頭壊死症は原因不明の阻血により大腿骨頭が壊死に陥り，末期には股関節の荒廃をきたす難病である，特発性に分類されるものにステロイド投与が原因と考えられる症例が数多く存在することが明らかになってきた．さらに，ステロイドを家兎に投与すると骨壊死が生じる実験モデルも開発された．著者らはステロイド投与骨壊死モデル動物の骨壊死発症初期段階において，多数の骨髄細胞と脂肪細胞にアポトーシスが誘導され，アポトーシス存在部位の細動脈血管内皮に障害が生じていることを明らかにした．また，大腿骨頭壊死症患者の病巣骨組織でも骨細胞にアポトーシスが生じていることが海外はり報告され，ステロイド自体が骨芽細胞にアポトーシスを誘導することが明らかになってきた．本難病の病因にステロイドによるアポトーシスが関与することが最近注目されている．