Behcet病の最近の疫学像の動向

摘要

Behcet病の全国疫学調査は1972年にはじめて実施された．以後5～7年間に1回の頻度で行われているが，今回の第5回目の調査は前回（1991）から11年目を経て実施された．本調査は患者数を推計する一次調査と臨床疫学像を明らかにする二次調査からなり，厚生労働省難治性克服研究事業特定疾患の疫学に関する研究般,ベーチェット病に関する調査研究班が共同で実施した．その結果,2002年1年間にBehcet病で受診した患者数は15，000人（95％信頼区間14，000～16，000）と推計された，1972年以降，患者数推計値，受療患者数ともに増加していたが，今回はじめて減少に転じた．臨床疫学像としては30年間で完全型Behcetの割合が段階的に減少しており,とくに男性での減少が顕著であった．重症度分類では女性より男性，とくに若年で発症した男性に重症·中等度者が多かった．