制御性T細胞におけるHLH型転写因子 Id2とId3による転写制御は， Th2型炎症を抑制する

摘要

免疫システムは，病原体に対す る生体防御機能と，自己抗原や病 原性のない外来抗原に対する寛容，という2つの機能のバランス によって成り立つている.防御機 能の低下は，感染や癌の発生につ ながる一方，寛容機構の破綻は自 己免疫疾患やアレルギーなどを引 き起こす.アレルギー反応とは "本来は害のない抗原などに対す る過剰な免疫反応"ととらえられ る.アトピー性皮膚炎や気管支喘 息などの疾患は非常に罹患率が高 く，その病態解明は重要な課題で ある.これらの疾患では，抗原の 曝露だけでなく，ストレスなどの さまざまな環境因子により強い影 響を受けることからも"免疫反応 の閾値の低下"と考えることもで きる.つまり，炎症抑制機能が弱 まっているともいえ，炎症を抑制 する細胞の機能が低下している可 能性もある.