アルコール依存症病態発現の神経薬理学的機序

摘要

アルコールを含む多くの依存性薬物の長期摂取により形成される身体依存は,きわめて易再燃性を特徴とする疾患であり,薬物摂取を中止した場合に, ①依存性薬物の探索および摂取の衝動性強追, ②適量摂取に対する自制心の消失,および③突然発症する自律神経症状(頭痛,血圧上昇,発汗,食欲不振など)および中枢神経過活動現象(手指振戦,筋痙攣など)と,その後の精神的退薬症候(情動不安,易怒,過敏)など,多彩な退薬症状を示すことが知られている.