血管内皮が発現する血管新生制御因子としてのvasohibin 血管内皮が発現する血管新生抑制因子

摘要

血管新生は促進因子と抑制国子のバランスによって制御されると考えられている.これまでに数多くの促進因子や抑制因子か同定されてきたが.血管新生調節の全容はいまだ明らかとなつていない.とくに血管新生抑制因子に関して.これまでに報告されてきた血管新生抑制因子はおもに血管外が産生され.血管新生刺激とはかならずしも直接的に連動しておらず,血管新生のバリアとして作用するものが主体であった.著者らは血管新生促進国子の刺激を受けた血管内皮が血管新生のオートレギュレーションを担っている可能性を想定した.そこで.代表的な血管新生促進因子であるVEGFの刺激によって血管内皮細胞に発現誘導される遺伝子の網羅的解析を行い,VEGF誘導性で機能不明の分子のなかから生理活性を有する新規国子の単離·同定を試みた.その結果.血管内皮細胞が選択的に産生し,しかも自身に対して選択的に作用して血管新生を抑制する新規因子を発見し,vasohibinと命名した.