慢性疼痛下におけるモルヒネ精神依存の分子機構

摘要

1986年に疼清治療法として，WHO方式3段階がh疼痛治療ラダーが発表されて以来，最近のわが国におけるモルヒネの使用量は年々増加の一途をたどっている．しかし．欧米諸国と比較するとその使用量ははるかに少なく，その原因の一つに医療従事者,患者ならびにその家族がモルヒネのもつ強度の依存形成能を懸念することがあげられる．一方，臨床においてがh患者に対し鎮痛を目的としてモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬を適切に使用した場合，その精神依存はほとhど問題にならないということが幅広い臨床経験により明らかにされている．こういった背景からも．モルヒネ依存の研究に従事する者の社会的責任は重く，その研究から得られる情朝は臨床現場において大変重要な役割を担っているといってももはや過言ではない.そこで，本稿では慢性疼痛下においてモルヒネの精神依存か形成されない機序について最新の知見を交えなから概説する.