ロボット支援下肝切I

摘要

肝臓外科領域は，その複雑な解剖や血流豊富な臓器であることから，手術の難易度が高く，繊細な手術 手技を必要とするが，これまで開腹手術によつて長年育hできた肝切除技術も腹腔鏡下肝切除に取つて代わられつつある.1990年代初頭に開始された腹腔鏡下肝切除は2度の国際コンセンサス会議を経て標 準治療として認められ，保険適応も拡大された.それが患者に与える恩恵は絶大であり，在院日数の短縮 や美容的にも開腹肝切除と比較して優れていることが示されたが，鉗子操作の動作制限や肝切除におけ る高難易度な縫合手技などの問題点も存在する.一方，ロボット支援下肝切除は，腹腔鏡下肝切除の技術 的限界を克服する可能性があり，今後，血管合併切除ゃ胆道再建などを伴う高難易度肝切除を確実に安全 に行うためにはロボット支援下肝切除の導入が不可欠と考えられる.近い将来，ロボット支援下肝切除の 保険収載，新しい国産ロボットの開発などによりさらに普及されると期待されている.