難しくなった結核病の診断-結核罹患率低下による宿主の変化

摘要

結核の診断が難しくなったのは，結核罹患率が低下し一般医家が患者を診療する機会が少なくなっていることがおもな原因である．肺結核症はX線上どのような異常陰影も呈するので，異常陰影をみたら，かならず鑑別診断に肺結核症を上げるべきである．また，2週間以上続く呼吸器症状を訴えた場合には異常陰影の有無にかかわらず，横癌を行うべきである．また，発熱，全身倦怠感，食思不振などの全身症状だけを訴えた場念にも胸部X線撮影を行い，異常陰影がみられた場合には結核を疑い検査を進めるべきである．高齢者では発病すると急速に進展することが多いので，全身症状のみを訴えた場合でも結核を疑い検査を進める必要がある．また,罹患率の低下に相まって結核は高齢者に多い疾患となってきている．粟粒結核が最近増加してきており，また，既感染率の低下により代表的な初感染結核である肺内リンパ節結核が成人にもみられるようになってきた．