歯周病が心血管系疾患に及ぼす

摘要

動脈硬化症をおもな原因とする心筋梗塞や狭心症などの心血管系疾患は，わが国における死因の第二位を占める.動脈硬化症の主要な危険因子は脂質代謝異常と考えられてきたが，近年，慢性炎症が病変の発症進行にきわめて重要な影響を及ぼしていることが明らかになつてきた.この慢性炎症性変ィヒを誘導するのが感染症であり，Chlamydia pneumoniae ， Helicobacter pylori, Cytomegarovirusなどにカ卩えて，歯周病原細菌Po/p/?ダ圍romonas gingivalis ， Aggregatibacter actinomycetemcomitansが関与すると考えられている.これまでの報告によれば歯周疾患は，コホ一卜硏究，横断研究，症例封照研究のいずれにおいても，冠動脈疾患のリスクを高めることが明らかになつている.これら疫学調査のデータに加えて動物実験，/'ni//ケ0実験の結果から，歯周病原細菌感染と動脈硬化症のリスクは単なる相関ではなく ，両者の間に因果関係の存在することが明らかになってきた.