ヒ卜iPS細胞·ES細胞o間葉系幹細胞由来の肝細胞を用いた薬物の安全性·毒性試験

摘要

成人肝細胞の増幅培養とその生体外機能維持はほぼ不可能である.したがって，創薬応用に向けて幹細胞由来の肝細胞作製がおおいに期待されている.現在までにマウスのみならず，サルそしてヒ卜胚性幹(ES)細胞も肝細胞への分化能力が検討されてきた.マウスES細胞の肝細胞への直接分化は，肝誘導因子カクテルを用いた接着細胞の単層培養として確立された.肝細胞分化を誘導する増殖因子はES細胞の肝傷害動物に対する移植実験の結果から同定された.また，ヒ卜ES細胞は肝細胞の特徴を有する細胞へ分化することが報告されている.個々の患者の体細胞から肝細胞の作製が可能であれば，細胞源の倫理的問題を抜本的に解決し，遺伝的背景，年齢，性別の異なる標準化された肝細胞の提供が可能となる.