心収縮が保たれている心不全とは何か?左室拡張機能障害による心不全について

摘要

近年人口の高齢化に伴って心不全も増加してきている.心不全では左室内腔が拡大し,心収縮機能が低下する症例が多いのはよく知られた事実である.しかし左室収縮機能が保たれているのにかかわらず心不全を発症する症例が相当数あることが近年明らかになってきた.これが左室の拡張機能障害による心不全である.左室の拡張機能障害そのものは,よく知られている概念であるが,従来は拡張機能障害は収縮機絶障害の前段階であり,拡張機能障害のみの心不全は軽症であると考えられてきたが,実際には拡張機能障害のみでも重症の心不全になることが判明してきた.