腰痛?腰下肢痛

摘要

腰痛はその患者数の多さと，痛みによる就労困 難がしばしば発生することなどを考慮すると，社 会に与える影響がきわめて大きい疾患といえよ う.したがって腰痛を適切にマネジメントするこ とは，社会活動の面からも医療経済の面からもわ れわれ医療者に与えられた大切な課題である.腰痛は，主に発症後3力月の急性腰痛とそれ以 降の慢性腰痛に分類されることが多い.また最近 では画像検査などで特段原因の見当たらない腰 痛，いわゆる非特異的腰痛がクローズアップされ ており，精神面，中枢神経(脳）の関与がしばしば取り沙汰されている.非特異的腰痛は（慢性)腰痛全体の約85%を占 めるとする論文もあるが，その実態は明らかでは ない.また，たとえば仙腸関節や椎間関節に由 来する腰痛のうち，画像所見では異常のないもの も多く存在し，将来，診断技術の進歩により非特 異的腰痛の何％かはその原因が特定されることも あろうかと考える.非特異的腰痛について興味の ある方は成書を参考にしていただきたい.