腎不全の心房細動患者の抗凝固療法はどうするか

摘要

心房細動を有する慢性腎臓病（chronic kidney disease ： CKD)患者では，ヮルフアリン（ヮ— フアリン~R)投与の有用性に関する報告が少ない一方で，出血性合併症のリスクが高い.しかし， CKD患者の出血リスクを評価するのに有用な指標はなく，個々の症例で慎重に適応を検討する必 要がある. とくに透析患者では，出血性脳卒中のみでなく虚血性脳卒中のリスクも增加する可能性があるため， ヮルフアリン投与は血栓性合併症のリスクがとりわけ高いと判断される場合のみに限る必要があ る.また投与する際も，PT-INRは2.0を超えないようにコントロールすることが望まれる. 新薬ダビガ卜ラン（プラザキサ"は腎代謝性の薬剤であり，糸球体濾過畺（glomerular filtration rate ： GFR) 30 ~ 50mL/minでは減量が必要で，30mL/min未満では投与禁忌である. 抗凝固薬の効果が過剰になった場合，腎障害を進行させる可能性か'ある.ヮルフアリンはPT-INR を，ダビガ卜ランは腎機能を定期的にモニ夕リングし，投与量を調節する必要がある.