出生児の予後と管理:糖代謝異常合併母体児の長期予後

摘要

?母体の妊娠糖尿病，糖尿病，肥満は，児の小児?思春期以降の肥満，糖尿病の発症に密接に関連している.?小児科医や小児保健担当者へこの概念を啓発し，妊娠糖尿病および糖尿病母体の児が肥満にならないように乳幼児期からの生活習慣指導が重要である.糖代謝異常合併母体の児の健康障害には，周産期に起こる健康障害と小児期から成人期に起こる健康障害がある.後者の障害は，1980年代から米国アリゾナ州のPimaインディアンを対象にした調査より，糖代謝異常合併母体の児が，小児期から若年期にかけて肥満や2型糖尿病になりやすいという研究が報告され，注目されるようになった.わが国でも妊娠糖尿病の診断基準が改定され，多くの軽症の耐糖能異常母体が診断されることが予測されている.そのような母体の児は，周産期の健康問題よりも長期的な健康障害のほうが問題になることが予測される.本稿では，この現象のメカニズムと考えられているPedersen仮説，fetal overnutrition仮説を概説し，過去?最近の疫学研究を紹介し，わが国の耐糖能異常母体から出生した児の長期予後の改善に必要な対策を述べる.