胆道損傷のリカバリー法

摘要

急性胆囊炎では胆囊周囲に高度な炎症や癒着を生じていることも少なくないため，胆囊摘出術の際の胆道損傷 に気を付ける必要がある.腹腔鏡下胆囊摘出術（Lap-C)は多くの施設で急性胆嚢炎に対する標準術式となっているが，各施設，各術者において腹腔鏡手術のP良界を理解しておく必要がある.胆嚢摘出時の胆管損傷の治療は，損傷部位の十分な理解と適切な処置の選択が必要である.急性胆囊炎は日常診療で頻繁に遭遇する疾患である. 胆囊炎治療では，急性胆管炎?胆囊炎診療ガイドライ ンにも示されているように，胆囊炎の重症度，患 者の併存疾患および全身状態によつて施行時期を検討 する必要があるものの，発症早期の胆囊摘出術が基本 的な治療方針である.胆囊摘出時の胆道損傷は，51生 率は高くないものの最も遭遇したくない合併症の一つ であり，処置を誤ると術後管理は長期に及び，胆道狭 窄などを引き起こし治療に難渋することも少なくない. 本稿では，胆囊摘出時の胆道損傷について，知っておくべき知識とリ力バリ一方法について述べる.