非破裂肝細胞癌切除後に孤立性腹膜再発を生じた1例

摘要

肝細胞癌の腹膜転移は肺転移などに比べると比較的稀であり，その転移形式は原発巣破裂による腹腔内播種によるものと考えられている．今回われわれは，非破裂肝細胞癌切除後2回にわたって異時性に孤立性腹膜転移をきたし，2回とも切除した症例を経験したので報告する．患者：70歳，男性現病歴：HCV抗体陽性の肝硬変患者．右上腹部痛を主訴として来院した．S8横隔膜面に突出する直径5cmの肝細胞癌（以下，HCC）を認め，1996年2月21日chemolipiodolizationおよび肝動脈塞栓術（TEA）を施行した．