腹腔鏡下胆囊摘出術時の肝動脈損

摘要

腹腔鏡下胆囊摘出術において肝動脈損傷は胆管損傷に伴って生じることが多い.損傷を防ぐためには，胆管損傷の際と同様にcritical view of safetyの考え方が大切である.損傷を生じた場合には，開腹してPringle法を行って出血をコントロールし，損傷の修復を行う.き胆管と肝動脈をともに損傷した場合は，血行再建に熟達した外科医による再建が望ましい.腹腔鏡下胆囊摘出術（以下LC)は，普及の著しい 内視鏡下手術のなかでも最も多く行われている手術で ある.その手術数は年々増加し，現在わが国では胆囊 摘出術の約80%がLCで行われるようになってきてい る.一方で，胆管損傷などの合併症の発生率に関して は，以前とほとhど変わらないのが現状であり，依然 として大きな問題となっているLCの代表的な合併 症は胆管損傷である力?，これに関しては別稿を参照し ていただき，本稿では肝動脈損傷をテーマに，肝動脈 損傷の現状，生じないための対策，生じた際の対応に 関して述べる.