胃切除後の魚骨による小腸穿孔の3例

摘要

嚥下ざれた魚骨は通常は消化されるか，または消化管を損傷させることなく自然排泄される．しかし，ときに消化管穿通·穿孔のため，急性腹膜炎を起こしたり，腹腔内膿瘍や慢性肉芽腫を形成し外科的治療の対象となることが少なくない．今回われわれは，胃切除後に魚骨による小腸穿孔により腹膜炎を起こした3例を経験したので報告する．患者：51歳，女性.主訴：左上腹部痛.既往歴：42歳時に早期胃癌にて幽門側胃切除術（BillrothI法）を受けた．家族歴：特記すべきことなし．現病歴：1991年9月30日午前10時頃より左上腹部痛，嘔吐が出現し近医を受診した．鎮痛剤の投与を受けるも，痛みが増強してきたため10月1日当科に紹介され入院となった．入院時現症：体格中等皮，左上腹部に著明な圧痛，Blumberg徴候，筋性防御を認めた．