全身化学療法

摘要

大腸癌肝転移の治療において肝切除は唯一治癒が期 待できる治療法であり，切除可能であれば肝切除が治 療の第一選択となる.切除不能な肝転移には全身化学 療法を行う.肝切除後の再発率は高いので，再発抑制 を目的とした周術期化学療法が行われる場合があるが， その有用性は現在も臨床試験で検証されている状況で ある.切除不能な肝転移に対する化学療法が奏効して 切除可能となり肝切除が行われる場合があり，治癒や 生存期間の延長が期待できる.化学療法の進歩により 全身化学療法と肝切除を組み合わせた集学的治療（図1)による治療成績の向上が期待されるが，最適な化学療法レジメンゃ肝切除の適応やタイミングなどはま だ定まっていない.本稿では，大腸癌肝転移に対する全身化学療法の現状を概説する.