全身化学療法により根治切除可能となったが，術後肝不全に陥った大腸癌肝転移の1症例：全身化学療法の功罪は？

摘要

近年，新規抗癌剤(IrinotecanやOxaliplatin), 分子標的薬(Bevacizumab, Cetuximab)の登場により，進行·再発大腸癌の予後は改善され，さらに切除不能の大腸癌肝転移が切除可能となる症例も経験されるようになった。一方で化学療法開連肝障害が報告され，とくに化学療法後の肝切除術では合併症が高率であることが指摘されている。今回，われわれは大腸癌多発肝転移に対して， 化学療法後大量肝切除を行い，術後肝不全を来し治療に難渋した症例を経験したので報告する。