化学療法と肝障害

摘要

肝転移は大腸癌の予後を左右する最も頻度の高い他 臓器転移であり，肝切除により転移巣をすベて取り除 くことが，予後改善につながる最も有用な治療法であ る.近年の化学療法の進歩は目をみはるものがあり，肝切除不能と判断された症例の15%程度が化学療法 後に肝切除可能に転じる，いわゆるconversionが可 能となり，このような症例の5年生存率も約30%と 以前からは考えられない数字となっている。切除可能肝転移症例に対する周術期の化学療法の有 用性に関しては十分なェビデンスがない状況であり， 術前化学療法の有用性を証明できた報告も乏しい.