非ステロイド系抗炎症剤による薬剤起因性回盲部潰瘍の一例

摘要

非ステロイド系抗炎症剤（以下NSAIDs）は，現在，最も多く処方されている薬剤の一つである。 上部消化管における副作用に関しては広く認識されているが，下部消化管の副作用については未だ認識が低く，十分な検討が為されていないのが現状である。 副作用出現の作用機序として，①cyclooxygenase阻害作用による粘膜傷害，②直接的消化管粘膜細胞傷害，③その他，等の報告があるが，十分な解明は為されていない。今回，筆者らはNSAIDsによる薬剤性回盲部潰瘍の一例を経験したので文献的考察を加えて報告する。