Modified ilioinguinal approachで内固定術を行った骨盤骨折の1例

摘要

寛骨臼骨折に対する前方アプローチは，1993年 Letounelらが考案したilioinguinal approach41が一般的 であり，当院でも同アプローチで手術を行ってきた.同 アプローチは，腸骨稜-甩径部にかけて三つのwindow を作成し，骨盤前方部を幅広く展開できる.しかし，腸 骨内板（quadrilateral surface)の直視は困難であり， 大腿動静脈，精索，子宮円索，リンパ管などの損傷の危 険がある.2004年Karunakarらは，同アプローチの欠 点を改善するために，腹直筋前鞘を分け腹腔内を展開す るmodified Stoppa approach 併用したraodified ilioinguinal approachを発表した.ネアフローチを用いるこ とにより前述の欠点が改善され，かつ術中失血死の危険 因子であるcorona mortise (死冠動脈：内腸骨動脈と外 腸骨動脈の交通枝）の損傷も予防しうることが期待される.